プロテスト

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「しかし薙沢も恋とかするんだなあ。高校生だし青春だし、当然なのかもしれないけど、そういうの全く興味無さそうだったのに」  高校に進学してから喧嘩三昧の日々、今はボクシングに夢中になっている。男にばかり囲まれて、女っ気のない青春だ。そう言われれば僕も恋とは無縁だったかもしれない。日々欲望と妄想にまみれていたけれど。 「まあ……うん、分からなくもないかな」  僕の顔を見て、東代さんが何か納得したように頷く。僕からノンケを落とすオーラでも出ているとでも言うのだろうか。だったら僕の高校の不良全員に作用して、僕は今頃夢の肉便器になれているはずだが、現実はそう甘くない。今では誰も見向きもしてくれなくて、放置プレイの妄想を楽しむのも限界に来ているほどだと言うのに。 「この後の合格祝いの焼肉来るでしょ? 会長と僕の奢りだから、お金のことは気にしなくていいよ」  その言葉に、昨日別れ際に約束したことを思い出した。
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