性癖

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性癖

 気が付くと目の前は真っ暗だった。棒立ちで真っ暗な空間に立っている。状況を確かめようと動かそうとした両腕は何者かによって強い力で掴まれていて動かない。逃れようと必死にもがくも、微動だにしなかった。 「暴れるんじゃねえ!」  後ろで押さえている人物ではなく正面から声が聞こえた。かと思うと、髪の毛を引っ掴まれ力任せに地面に引き摺り倒される。髪の毛は根本から何本か引きちぎられ、倒された冷たい床に全身を強くぶつけ激痛が走った。  どうしてこんなことになっているんだ? ここは何処だ? こいつらは誰なんだ? 考える間もなく恐らく正面に居た男が前髪を掴んで顔を上向かせる。 「これが何か分かるか?」  嘲笑の混じった低い声。暗闇では見えないけれど男のにやついた顔が目に浮かぶ。男は硬くて熱いものを僕の頬に擦りつけた。  これは――頭に浮かんだものに、一気に背筋が凍った。 「お前はこれをどうするんだ?」  男の問いに咄嗟に顔を逸らした。嫌だ、絶対にこんなの、嫌だ。 「素直じゃない悪い子には痛い目を見せてやらねえとな。……やれ」  パシンッという高音が背後で炸裂したかと思うと、背中の肉が引きちぎれるような激しい痛みが襲った。恐らく鞭か何かだ。 「うっ……あぁ……」 「痛いか? じゃあ大人しく従うんだな」  再び男の生臭い竿が唇に押し付けられる。僕は侵入を拒むように唇をきゅっと閉め、歯を強く噛み締めた。 「……仕方がない。身体で分からせるしかないようだ」  炸裂音が何度も鳴り、その度に骨に響くほどの振動と激痛が襲った。どれくらい経った頃か、攻撃の手が止んだ。僕は涙と鼻水と涎で顔をぐちゃぐちゃに汚しながら、身体をびくびくと震わせながら這いつくばっていた。 「お前、今自分がどうなってるか気付いてるか? 鞭で痛めつけられながら、どうなっていたか」  絶頂に達していた。口からだけでなく、僕は下半身からもだらしなく涎を垂らしていたのだ。全身を包むのは苦痛だけではない。むしろ快感が、上回っていた。  いつの間にか解放されていた両手を動かし、手探りで探す。ひたりと筋肉質な太腿に触れる。 「……欲しいんだろう。言ってみろ、何が欲しいのか」  太腿から斜め上に、そしてごわごわとした毛の中にそれを見つける。いきり勃つ、硬くて太くて熱い、男の茎を。 「これを……僕の下の……だらしない口に挿入れて下さい」
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