第3章

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第3章

しばらくすると今度は、若いカップルが立ち止まりました。 ブランドらしいベージュのワンピース姿にカラーの髪をアップした20代の女が、グレーのスーツ姿のポマードたっぷりのコームオーバーヘアの男に(ささや)きます。 似顔絵だって ギンちゃん描いてもらったら? 女は男の腕を取り、甘えた声を発します。 しかしスーツ男は、一瞬ドキリとしました。 ハルナの顔が、とても美しかったからです。 しばらくじっと、見つめてしまいます。 女はすぐに察しました。 ギンちゃん何見てるの? こんな貧乏臭い女 なんだって言うの ……… こんな下手な絵に300円ですって 誰が描いてもらうのかしら ……… それよりもお腹が空いたわ ギンちゃん早くご飯を食べに行きましょう ……… 着飾った女は、ハルナを勝ち誇った(さげす)んだ目で一瞥(いちべつ)します。 そしてスーツ男の肩に頭を傾け、ふっと薄ら笑いを浮かべました。 ハルナは、そんな女を黙って見送ります。 女のCHANELの香水が漂います…
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