第2章 集結、それぞれの想い

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「会わない方がいいとのイェルクの判断は正しかったか?」  呆然と立ち尽くす僕の横にアシュレイが立つ。寄り添うでもなく、慰めるでもなく、だからといって全く気遣わないわけでもなく、その距離感が心地良かった。 「いや……兄が、生きると言ってくれたから、それだけで……会えて良かった」  生きていれば、きっと素晴らしい日がやってくる。そう信じている。僕らが出会うことは、もう無いのだとしても。 「帰るぞ。今頃イェルクが大騒ぎしているかもしれん」  容易に想像できる。大事になる前に城に引き返さなければ。 「みんな、お疲れ様。僕は一足先に帰るけれど、このことはイェルクには秘密にしておいて。知られたらすごく怒られるから」 「王様を怒る人に秘密にするのは恐ろしいですが、分かりました」  兵士の一人がそんなことを言うので、皆どっと笑いが起こった。昨日までの事が嘘のようだ。  アシュレイに抱えられて飛び立ち、兵士達に手を振った。あっと言う間に見えなくなる。 「お前の判断は正しかったと思うか」  唐突に質問を投げかけられて、きょとんとしてしまう。 「重臣達はもとより、王を処刑せずに国外に逃がしたことだ。他国に利用される可能性があることを考えなかったわけではないだろう。特に王はお前に私怨を抱いているのだ。自ら取り入るかもしれん」  アシュレイの言うことはもっともだった。当然その可能性は考えたけれど、それでも処刑することはできなかった。 「犠牲を出さずに王冠を戴くこと……それが僕の望むものだったから。ただのわがままに国を巻き込んでしまったね」  ふっ、と鼻にかかるような吐息が漏れる。アシュレイの顔を見上げると、微々たる変化しかないが、笑っているように見えた。 「善良なわがままだな。私は、嫌いじゃない」 「君がそう言ってくれるのなら、少し気が楽になるよ」  微笑みを返すと、アシュレイは急に真顔になって視線を正面に見える城に移した。何か、気に障るようなことを言っただろうか。  変な空気になってしまい、黙ったまま飛び出してきた僕の部屋に辿り着いた。
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