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映画なら録画して休みの日に見ることもあるけれど、普段の日は、帰宅後にテレビを見る気にはなれない。体だけでなく、頭も疲れているから小説はとても読めない。
だから漫画がいいのだ。漫画なら文字を全て目で追わなくても、絵を見ればどんなシーンなのかわかる。くり返し読んでいるから感動を思い出せる。寝っ転がっていてもすぐに読みたいものを取り出せる。
特に今は青羽のことで現実逃避したいから、SFやファンタジー系ばかり読んでしまうのだが――。最近は漫画を読んでいてもストーリーに入っていけない上に、胸を堅い板で押されているような感覚が常につきまとっている。
――あの人の連絡先を、訊いてみようか……。
離婚が成立したあと、固定電話を解約して、自分の携帯番号とアドレスを変え、私は約五年間夫婦関係だった男の番号を忘れた。今後夫に青羽を会わせる約束はしなかったし、(話題にも出なかった)夫も何も言わなかった。のちに再婚したのだから携帯番号も変えているだろうけど、共通の友人に訊けば情報を手に入れることは可能だ。
このところ夜一人きりになると、私の頭の中はそんな考えで占拠されていた。
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