『館長』・・・1

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『館長』・・・1

「あのう…なんてお呼びしたらいいでしょうか?」 アルマは猫神様に訊いた。 「普通でいいですよ~」 ふ、普通…? 「バイナリー…様、は如何ですか…?」 「私は『様』を付けられると、なんか、くすぐったいですね」 猫神様は体をくねらせる。 「では、館長は、如何ですか?」 「館長ですか?私もちょっとエラくなったような気がしますね~。えへん!」 アルマはクスリと笑う。 「ティークさんは何てお呼びしたほうがいいですか?」 「え?私は……好きに呼んでもらっていいですよ」 「では、アルマさんでいいですか?」 「館長さえ、よろしければ…」 「わーい、新しい友達が出来たようで嬉しいです~」 アルマさん…か… レストランの時は苗字、ティークで呼ばれていた。 名前で呼んでくれたのは、親身になってくれたユリエヌ・エリュードだけだった。 言われてみれば、この町にきて3年、『アルマ』と呼んでくれたのは彼女だけのような… 友達は…この町には一人もいない。 そんな事を知ってか知らずか、猫神様は喜んでいる。 「あ、もう9時ですね。それじゃ、最初に館内を案内しますね~」 「はい!お願いします」 見学の時は大雑把(おおざっぱ)に案内されたが、実際は多種多様な書物、文献がある。 お堅い本ばかりかと思ったが。 子供向けの絵本、どこの誰が描いたかわからない漫画のようなもの、児童書や教科書・辞書… 「気になった本があったら手に取ってください。読んでくれれば本も喜びます」 「は、はい!」 本の量に圧倒される。背表紙を見ているだけでも退屈しない。
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