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「拓海!真琴ちゃんが!」
それは、突然の知らせだった。
ー「拓海、来てくれたんだ。」
いつもの笑顔で出迎える真琴にいらだちまで覚えた。
「なんで?なんでこんなのところにいるの?」
僕は、彼女を問い詰めた。
「なんでだろ…、私かまってちゃんだからかな。拓海が悪いんだよ、研究ばっかしてるから。」
「僕も悪かったけど言い訳ばっかりしないで、お願い。嘘だって言って。」
振り始めた雨が僕たちを語った。
「もう、助けられないよ。拓海には。」
病室の彼女と雲の重さで息が止まる。
「ごめんね。」
彼女の声が雨と重なる。
命は、儚い。
真琴の病気は、この時代には珍しい不治の病だった。
その理由は明白、真琴の遺伝性のもので真琴の一族は、この病気を神からの贈り物と称し隠して生きてきた。
そのため、病気は真琴が発症するまでこの世の誰も知らなかったのだ。
唯一真琴は、完治の仕方と言うものを知っていたが語ろうとはしなかった。
『命は、毎日生まれ変わる。だから、いつかは生まれ変わらなくちゃいけない。』
3日続いた雨は、ようやく乾きを見せ虹が顔を出したその日、僕の天使は神のもとへと飛び立った。
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