少女が歩む道

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「真琴、あなたは生き抜けるわ。この世界で。きっと彼はあなたのことを救ってくれるわ。」 途切れ途切れに思い出した母との最後の記憶。 私と母は、苦楽をともにしてきた。 そう言いたいところだが、そういうわけにも行かない。母は、もう私の隣にはいない。 たぶん小学校に入学する頃だったと思う、母はいきなり消えたのだ。さっきの言葉を残して。みんなお母さんは生きてるから!と励ましてくれるけど私はそうは思わない。 あんなことを言い残してどっかで生きているならそれは私を捨てたということになるから。流石にそうはおもいたくない。 そういう事で、今私は父、父方の祖母、母方の祖母と暮らしている。父方の祖母と母方の祖母は、10代からの仲良しで父と母は幼馴染なのだ。 ー思ったより遅くなってしまった。 時計はもう九時近くを指していて、家のリビングの電気は消えていた。祖母達は、7時には寝てしまう。だから、それは当然のことだった。 大急ぎで着替えリビングでご飯を食べた。玄関が開く音がして父が入ってくる。 「おかえり。」 「真琴?もう九時だぞ。こんな時間にご飯食べたら太るぞ。」 「かわいい娘が父親を待ってたの、嬉しくないの?」 父は、疲れ気味な声で小さくありがとうと行った。 「学校、どう?」 「心配してるの?私、最近偉いんだよ。授業も寝てないし」 「そっか。それは良かった。良かった。中学の時みたいに2が並ばないようにな、」 「2、並んでなかったって。1,2個だから、」 キレ気味で言うと父は、嬉しそうに笑った。 「何が嬉しいの?」 「いや、こうやって話すのは久しぶりだから、」 最近父の仕事が忙しかったのと私の反抗期で隠し事の一つくらいないと長く話せなかった。 私は、それを少し悔いた。
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