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メールが届く。
辺りは徐々にオレンジがかり、気づけばもう夕方になっていた。高速道路は思ったよりも空いていたので、ここまでスムーズに来る事が出来た――とはいえ、休憩なしで何時間も飲まず食わずで運転するのはさすがにキツいものがあり、意識すると、より一層苦しくなってくる。
息が詰まりそうになり、俺は路肩に車を止めた。
山道、おまけにこの時間という事もあり、人通りはほとんどない。扉を開けて、助手席に放り投げてあった500のペットボトルの蓋を開き、水を一気に飲み干す。
とたんに吐き気が込み上げて来て、咳き込む。
俺は飲んだばかりのものを、道路にぶちまけた。
メールが届く。
「…………」
ゆっくりと手を伸ばして、スマートフォンを掴む。俺は今し方届いたばかりのそれを開いてみた。
……もっとも、内容は見なくても分かる。分かるのだ。それこそ一字一句、間違えずそらで言える自信すらある。
それほど俺は、何回も、何十回も、このメールを読んだのだから。
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