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崩壊の音 ※
オモチャ?
実の父親に?
瞬間、頭に激痛が走る。
父さんは…、父さんが俺にしたことは、
「…っ!!い、嫌だ!やめろっ」
城戸の後ろにいた影から手が伸びる。
二人?三人? 分からないけど、とにかく逃げ出そうともがく。このままでは危険だと、身体中が訴えてくる。
「暴れてんじゃねぇよ!」
ガッ、と壁に押し付けられた衝撃で、頭がくらくらして目の前がぼやける。それでもなお、逃げるように体をよじると、今度は頬を張られた。じくじくとした痛みが刻まれる。
そうだ、昔、同じようなことがあった。
嫌だと泣いてもやめてくれなくて、酷い、ことを、
「…たす、たすけ…っ」
俺を助けてくれる人なんていない。
俺は、それを知ってる。
誰も救いの手なんて差し伸べてくれない。
「か、…っぐ…、は…っ」
首を絞められる。苦しい…苦しい…っ。
男の手を引っ掻くように引き剥がそうとしてもできない。体格差があるせいだ。
涙の膜が張る。声にならない声をあげる俺を見ながら、男たちが下卑た笑い声を響かせた。
そして、ビリリという音とともに衣服が剥ぎ取られていく。自身を露にされ、羞恥に苛まれる。
前戯も何もないままに、無遠慮に男の昂りが中を蹂躙しようとする。気持ちよさなんて欠片もない。ただただ、痛くて気持ち悪くて不快なだけ。そもそも慣らさないで入るわけがない。
首もとから男の手が離れ、急に気道に空気が入ってくる。突然の変化に体はついていくわけがなく、苦しくて咳き込んだ。
「げほ、っ、ごほっ」
取り込みすぎた息を吐き出す。涙があとからあとから、止めどなく溢れてくる。
「いっ、いた…っ、痛い!」
「うるせぇ!」
また頬を張られる。さっきよりも強い。
頬と後孔が焼けるように痛い。
男は俺の足を抱え、ぎちぎちとキツイ道を割り開いていく。ぬめりを感じるということは、切れて血が出てしまっているのかもしれない。
「ほら、こっちも咥えろよ!」
「ん、ぐっ、んぁっ、んっ、ぐ、ぁ…っ」
抉るように、もう一人の男が俺の口内に昂りを捩じ込んできた。吐き気を感じるほど奥に押し込まれる。でも吐き出すことなど許されず、上も下も男たちの好き勝手にされてしまう。
時間の感覚がなくなるくらい、俺は男たちの好きなようにされた。何度も中に出され、少し身動ぐだけで後孔から、こぷりと液体が吐き出される。
「…、」
「稔ー? 意識飛ばしちゃったか?」
城戸がぺちぺちと俺の頬を叩く。
目を開け、ぼんやりと城戸を見ると笑顔を返された。その楽しそうな顔にゾッとする。
「これさ、よく撮れてると思わないか?」
「…?」
城戸が俺の目の前にスマホの画面を見せてきた。
そこには、俺が男たちに犯されているところがはっきりと写っていた。何枚も何枚も、城戸は面白がりながら画面をスライドさせていく。
「動画もあるけど、見るか?」
「なん、で…こんな、こと…」
「何で? こんな面白そうなこと1回で終わらせるわけないだろ。これから俺が呼んだらすぐ来いよ。来なかったらこの写真と動画、晒すからな」
「…っ」
得たいの知れない恐怖と気持ち悪さを感じる。まさか、こんな風に脅される日が来るなんて考えたことがなかった。
「それにしてもさ…」
「っ、あ…!」
城戸がぐにぐにと後孔をいじる。
ぎゅ、と目をつぶると、嘲るような笑いが聞こえた。
「男にこんなことされて感じるなんて、変態だな」
「…っ、…っ」
「つーか、こんな簡単にセックスできるなんてさ、お前普段からヤってんの?」
そんなわけあるか、と反論したかったが、ついこの間まで蓮矢と毎日体を重ねていたから、確かに未経験者よりは早く拡がったと思う。
ただ、快楽よりも痛みや恐怖心の方が強くて、俺自身は萎えたままだった。
「父親に色々されて目覚めちゃったんじゃね?」
「…」
俺の父親。あの人は、もう、いない。
事故で死んでしまったから。
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