百の手

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 あっと兵太郎が声を出す前に、腹に包丁が突き刺さり、兵太郎はその場に倒れ込んだ。 「恨むなら婆を恨めよ」  それだけ言うと、怪しげな男は走り去った。  神社の屋根の上に座っていた鬼神は、すぐに兵太郎の所に降り立つ。  急いで止血をせねば命に関わる。鬼神は法力を使って、兵太郎の傷を癒し始めた。  血は止まったが、このままでは流れた血が多すぎて歩いて帰るのは無理だろう。  鬼神は兵太郎を背負うと、空を飛んだ。  兵太郎を玄関に置くと、鬼神は姑の姿を探した。  姑は、裏の井戸で水汲みをしているところだった。そこに家人の声を真似てる。 「兵太郎が帰って来たぞ! 怪我をしている!」
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