百の手

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 鬼神は嫌な予感がした。 「それは今の兵太郎だけでなく、未来永劫『月野木家』の赤ん坊へ百の手を貸してやってほしいということだ」 「おのれ! 坊主図ったな!」  言葉の真意を知り、鬼神は怒り狂った。 「おまえさんが確認しなかったのが悪いんじゃよ。約束は約束だ。未来永劫見守ってくれ」  にこにこと笑う坊主に鬼神は掴みかかろうとしたが、空を切る。 「無駄だ。もう儂はこの世の者ではない。おまえの負けだよ」  それだけ言うと坊主は消え去り、その場には枯葉だけが舞っていた。
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