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「旦那様の身の回りのことも出来んでどうする。さっさと支度なさい」
「へぇ」
姑と思われる老婆に言われて、おつると呼ばれた嫁は釜を持って、台所へと足を動かす。
やっとのことで台所に釜を運ぶと、おつるは丁寧に下駄を揃えて脱ぐと家の中へと消えていった。
鬼神は近くの柿の木の上から一部始終を見ていたが、嫁の待遇はあまりよろしく無いようだ。
奥の方では、姑が別の家人に叱責しているのが見える。
「もうよろしい、おまえは今日限りでお暇を与えます」
「そんな! まだ幼い子供も居るんです。どうかご慈悲を……」
「なりません。さっさと出ていいきなさい」
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