1人が本棚に入れています
本棚に追加
/2ページ
幼なじみの二人
「星?どうかしました?」
潤は練習をやめて星の様子を伺う。
星が嫌いな潤の態度その2だ。
プライドが高い星にとって、余計に惨めさを感じる。
「な、なんでもない。そ、そうだ。潤お前も練習終わりにしろ。朝ご飯をつくるために水汲みを手伝え」
星はくるりと方向をかえてわき水のでる井戸を目指す。
星から手伝えと言ったのに無言でついてくる潤がどうも星の勘に触る。
イライラしていると突然持っていたバケツをひったくられた。
「なっ…」
星は声を上げることができない。
「何故、そんなに悔しそうな顔をしているのですか?」
潤は本当に分かっていないようにみえる。いや、幼なじみなら分かっているだろう。そのうえでわざとやっているのだ。
「……分からないのか」
星はドスの利いた声でそうつぶやいた。それでも潤は分からないフリをする。
「分かりません。僕は星ではありませんし、星も僕のことなんて百パーセントわかないでしょ?」
だから悔しいんじゃないか。
幼なじみのことだ、知りたいと思うのは当たり前。まして好きな人ならなおさら。
最初のコメントを投稿しよう!