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「村瀬守流の火のチャレンジャー! これができたら五千円!」
唐突に守流の声が聞こえ、顔をあげる恭也。
「今後卒業するまで、友達とお金のやり取りをしなければ、この五千円は返してあげるよ」
「ほ、本当か?」
「もちろん。キミが約束を守ったように、僕もちゃんと守る……と言いたいところだけど、」
フッ、と守流の顔から笑みが消える。
「僕は卒業するまでこの学校にいれないんだ。公演が終われば、いずれまた次の町へ行かないといけない」
寂しげな守流の顔を見て、恭也も同じ気持ちになりました。
「だからこの五千円は江成さんに預かって貰うけど、いいよね? 江成さんも」
「ええ。預かるだけなら」
それを聞いて守流は嬉しそうに恭也に耳打ちした。
「よかったね、番堂君。これで江成さんと繋りが持てたよ」
恭也は照れ臭そうに頭をかき、口を開いた。
「……わかった。その競技、チャレンジしてやる。もう二度とテレビの真似事なんかしねえ」
「ううん。お金さえ賭けなきゃ別にやめなくてもいいんだ。この遊び、結構いいトレーニングになるし、僕と番堂君が友達になったきっかけでもあるし、やめるのは勿体ないよ」
恭也は守流の心の広さに、完全に負けを認めます。
「そうだ。今度から女子も仲間に入れてやろうよ。みんなができる競技を考えなきゃね」
「お、おう! そうだな!」
そして改めて、友達になろうと決意するのでした。
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