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この日も恭也は朝から今日はどんな競技で稼ごうかあれこれ考えていました。すると、教室に担任の先生と一緒に見知らぬ少年が入って来ました。
「“村瀬守流”です。よろしくお願いします」
その少年は転校生でした。背は高く、ルックスもよく、髪も茶色で自然と女子達から好奇の目が集まります。
しかし恭也の目には新たなカモにしか映らないのでした。
「100円チャレンジ? 面白そうだね。やるやる」
休み時間。さっそく何も知らない守流を誘うと、二つ返事で参加するのでした。
「今日のチャレンジは、ぐるぐるバット平均台渡り!」
その内容は、地面に立てたバットにおでこをつけその場で10回転してから平均台を渡るという無茶なもの。
「さあ、最初のチャレンジャーはどいつだ?」
みんな自信が無いのか、なかなか名乗り出ません。そんな中、
「はいはい。僕やるよ」
手を挙げたのは、守流でした。
「いいねえ転校生。じゃあ挑戦料20円な」
「えっ? お金を取るの?」
「当然だろ。こっちだけ100円賭けるのは不公平だからな」
「まあ確かにそうだね。でも今日はあいにくお金を持ってきてないんだ」
そう言って両のポケットを裏返しへらへら笑う守流。
「ま、しょうがねえな。じゃあ初回特別サービスでタダで挑戦させてやるよ」
「ホントかい? 番堂君って優しいんだね」
生まれてから一度も言われたことのない言葉を言われ、恭也は思わず顔を背けました。
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