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「そんじゃ期待のルーキー、村瀬守流の挑戦です! ぶっ、ぶっ、ぶっ、ぶーん!」
スタートと同時にバットに額をつけ、その場でぐるぐる回りだす守流。
「いーち、にーい、さーん」
それに合わせカウントしていく一同。その間恭也はずっと無惨に目が回り倒れ込む守流を想像し、ほくそ笑んでいます。
「じゅーう」
ようやく10回転し終え、バットが地面に転がった瞬間、恭也から笑みが消えました。
守流はふらつくことなく平均台に乗ると、そのままスタスタと渡っていったのです。
「はい、ゴール」
あっさりクリアしてみせた守流に、みんな目を輝かせて駆け寄っていきました。
「すげーなお前!」
「どうして平均台……いや平気なんだい?」
「割りと三半規管強いんだよね」
恭也はというとしばらく呆然としていましたが、ハッと我に返りパチパチと拍手をし始めました。
「いやあ、なかなかやるじゃねーか。おめでとさん」
そして素直に守流に100円玉を渡しました。
「わあ、ホントにくれるんだ。ありがとう」
しかし内心は悔しさで顔を歪めていました。
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