ある生ゴミによる腐敗的な非難

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 天気予報は梅雨明けを告げている。  予報士が例年よりも幾日か早いとか何とか述べているのを聞き流しつつ食器を重ねてトレイに並べ、私はテレビの電源を切った。  本日一日のお天気模様なんて、窓を見れば一目瞭然だ。  換気がてらに開けた台所の窓から内へ差し込む日差しと共に、一枠分に切り取られた外の景色が窺える。  庭の草木は日向と日陰とで葉色の明度が一と百もの差があるし、家の前の道路は陽光を反射して鉱石のように小さく煌めいている。  太陽に照り付けられている地面からは、じりじりと表面が焼けていく音が直に聞こえてくるようだ。  こんな景色を目にした後で外に出たいとは思わない。  けど、外へ出なければ土日二日分のごみは次回の燃えるごみの日が来るまで台所のスペースを余分に占拠し続ける事になる。  家中のごみ箱から収集した小袋をまとめた九十ℓの大袋を片手に提げ、サンダルを突っ掛けた私は意を決して外界へ一歩踏み出した。
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