ある生ゴミによる腐敗的な非難

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 肉付きも良いし顔も良い。  これで腐れてさえしまわなければ、こんな所に置き去られる事もなかったろう。  少なくとも私だったなら、このような上玉をなるべく長持ちさせられる良好な環境を、出来得る限り整えるのに。  照る陽の暑さを一時忘れ、淫らなごみに浅くもうっかり同情しかけたその刹那──。  それまで固く閉ざされていた二枚の瞼が徐にふうっと持ち上がり、薄白い皮膜の奥にあったその墨色に澄んだ瞳孔が、光を反射し煌めいた。  訴えかけるかのようなその切なる眼差しに、破損し打ち捨てられた美術品を値踏みするのと同じ好奇心を持って観察していた私の心は、己自身の双眸を通して真直ぐぴしりと射抜かれる。  声も出せず身動きも取れず、我々の視線は炎天の下暫く絡み合っていた。  ──が。  遥か遠方から迫り来る荒々しいエンジン音を私の聴覚が拾い取り、それにより呪縛が解けたかのように我が心身は一瞬の間に自由を取り戻していた。
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