第一章 『蹂躙』

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「ホブ……ゴブリン――!」  そのゴブリンは最早、小鬼とは呼べない。  体躯は鍛え上げられ、その身長は二メートルに届く。    ゴブリンの幼体は細胞の活動が活発で一週間程で成体となりその後、十年程が寿命とされる。  頻繁に冒険者達に討伐されるので五年以上生き残る個体は少ないが、それ以上の存命が叶ったならば、細胞が活性化する期間が再び訪れる。  ――それがホブゴブリン《大鬼》。  複数のゴブリンを同時に相手にして勝てるのが、駆け出し冒険者の卒業ラインとされるが、ホブゴブリンとの一騎打ちで勝利してこそのプロの冒険者の仲間入り、とされる。  視界の悪く狭い洞窟でゴブリンを率いたホブゴブリンの相手は、熟練の冒険者達が十分な練度をもってして対処する案件。    半端な巨人種を相手にするよりも難易度は高いのだ。 「オ前達ハ我ラ、ゴブリンヲ殺シテイルナ」 「ご、ごめんなさい! わ、私も、もう冒険者やめます! やめますから許して下さい! 何でも! 何でもしますからぁ!」  殺す筈の相手に赦しを請う冒険者。滑稽だと、ゴブリン達は笑う。 「何デモスル、カ」 「はい! ですから、命だけは助け――!」  絶望の中に僅かに見えた光。死にたくない一心は、人語を話せない魔物にも伝わるだろう。  だが、 「デハ、ゴブリンヲ、産メ」 「――え?」 「コノ群レノゴブリン全テノ子ヲ産ミ、生キテイタノナラ、赦シテヤロウ」  ホブゴブリンが松明に照らされながらニヤリと笑う。  そして、ゴブリン達が歓喜の雄叫びを上げながら女冒険者へと群がった。 「いや、や、やめて! 放して、いやぁ!!!!」  女の裂ける様な叫びはいつ聞いても心地良い。 「犯セ、孕マセロ。全テハ我ラノモノダ!」  ホブゴブリンは満足そうに笑いながら、女が陵辱される光景を楽しむ。  自分は先ほど他の村娘で十分に堪能した。小鬼どもにも良い思いをさせるのも群れの主の務めだ。  そして、女の悲鳴が力が尽きる様に弱くなる。
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