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「ねぇ、ママ。その2人は村を出てどうなったの?」
大きな黒い瞳を輝かせて、目の前の私の小さな息子は、興味津々に聞いてきた。
「ごめんね、ママもこの先は知らないの。でも、きっと2人が幸せに暮らせる場所を見つけられたと思うわ」
「どうして?」
「うーん、どうしてかしらね?なんとなく、ね」
私は誤魔化すようにおどけて見せた。
だってね、今、私と大切なあなたが存在している、それがあの二人の幸せな未来を、証明しているから。
そんな事言っても、あなたはまだ幼くて分からないと思うから。
視線に気づいて小さな息子を見れば、何故だか私の顔を食い入るように見ていた。
「ママの目は、宝石のヒスイのような緑色のきれいな目だね。さっきのお話のヒスイさんみたい」
「………!ママ、翡翠を見せた事あったかしら?」
「あれ?ぼく、なんでヒスイなんて言ったんだろう?」
小さな息子は、不思議そうに首を傾げていた。
私は溢れそうになった涙を、必死に堪えた。私は長い時を経て、再びこの姿で新たな世界に降り立った。そして、あの時と関係は違ってしまったけど、またあなたと出会う事が出来た。それだけでも奇跡なのに…
私は小さな息子に顔を近づけ
「そうだ!そろそろおやつにしようか?よーくん」
そう言うと、首を傾げていたよーくんは、パッと目を輝かせた。
「ひすいママだーいすき!」
「ママも、よーくん大好きだよ!」
今度は私が守るから
だから今度は
ずっと一緒に
二人で幸せに…
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