5

2/2
1人が本棚に入れています
本棚に追加
/18ページ
「ねぇ、ママ。その2人は村を出てどうなったの?」 大きな黒い瞳を輝かせて、目の前の私の小さな息子は、興味津々に聞いてきた。 「ごめんね、ママもこの先は知らないの。でも、きっと2人が幸せに暮らせる場所を見つけられたと思うわ」 「どうして?」 「うーん、どうしてかしらね?なんとなく、ね」 私は誤魔化すようにおどけて見せた。 だってね、今、私と大切なあなたが存在している、それがあの二人の幸せな未来を、証明しているから。 そんな事言っても、あなたはまだ幼くて分からないと思うから。 視線に気づいて小さな息子を見れば、何故だか私の顔を食い入るように見ていた。 「ママの目は、宝石のヒスイのような緑色のきれいな目だね。さっきのお話のヒスイさんみたい」 「………!ママ、翡翠を見せた事あったかしら?」 「あれ?ぼく、なんでヒスイなんて言ったんだろう?」 小さな息子は、不思議そうに首を傾げていた。 私は溢れそうになった涙を、必死に堪えた。私は長い時を経て、再びこの姿で新たな世界に降り立った。そして、あの時と関係は違ってしまったけど、またあなたと出会う事が出来た。それだけでも奇跡なのに… 私は小さな息子に顔を近づけ 「そうだ!そろそろおやつにしようか?よーくん」 そう言うと、首を傾げていたよーくんは、パッと目を輝かせた。 「ひすいママだーいすき!」 「ママも、よーくん大好きだよ!」 今度は私が守るから だから今度は ずっと一緒に 二人で幸せに…
/18ページ

最初のコメントを投稿しよう!