6人が本棚に入れています
本棚に追加
カラオケの個室に入る。この瞬間が、好きだ。
体にまとわりついた雑音たちが一気に剥がれて綺麗になったように感じる。
ここでは私は優等生を演じなくてもいい。
メロンソーダを飲む。
いかにも体に悪そうな味がするけれど、やっぱり美味しい。
私は高校で優等生を演じている。
勉強熱心で、テストはいつも満点、そんな優等生を。
正直、勉強なんてある程度やってればできる。
定期テストのレベルくらいなら、1日2時間やれば十分だ。
だけど友達には、1日10時間勉強していると言っている。
そうするとみんな「すごい」と言ってくれる。
この「すごい」が、私を私でいさせてくれる。
明日から中間テストが始まる。
テスト前日にカラオケに来てることがバレたら、きっと誰も私のことを信じなくなるだろう。
それでも私は嘘を付き続ける。
最初のコメントを投稿しよう!