100年サイクル

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「こ……わいよぅ、グスッ。フミヤ、うぇ、フミヤぁこわいよ、怖いよぅぅええーん」  俺の腕の中で泣き出したフミコを慰める。大丈夫、大丈夫と呟きながら。  大丈夫な訳ないだろう。俺だって怖い。怖くて怖くてたまらない。  すがりついてくるフミコを抱きしめながら、俺も彼女にすがりついている。大丈夫大丈夫と祈るように呟いて。  他の皆はいなくなってしまった。あれだけ多数に分かれたのに。  最初、俺たちは一つの物体だった。  それを無理やり分けられたのだ。分けられた俺たちは各々が一つの単位になった。  大きさは均一ではなかったから、体積の小さいものは力がなく淘汰され、次々と燃え尽き消えていった。  もう俺とフミコの二人だけだ。そしてお互い無傷ではない。  フミコの小さい体は耐えられるだろうか。その命はいつ消えてしまってもおかしくない状態だった。  とりあえずどこかに移動しなければ。  安全な場所なんてどこにあるのか分からないが、自分一人だけではない。守らなければならない小さな命が腕の中にあるのだ。どこか少しでもマシなところに避難するのは大人の責務だろう。  フミコを抱きかかえて立ち上がる。イヤっと少女は声をあげた。  ごめん、何も見えないのに急に動いたら驚くよな。  立て抱きに体を直す。フミコはギュウと手を回しくっついてくる。  首筋にかかる息、涙。  うえぇぇーん、フミヤっ、グスッ……フミヤぁ。  フミコはただただ俺の名前を呼び、泣き続ける。よしよしと頭を撫でて落ち着かせようとするが興奮していて難しい。
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