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フミコ……。
しかし俺には嘆く時間も許されなかった。
地上に残っていた触手たちが消滅しだしたのだ。爆弾のように破裂しながら。
「ぐわあぁぁっっ!!」
俺の体に巻き付いていたそれらももちろん同じ経路をたどる。ボコボコと表面が沸き立つ様に変形したと思ったらバンッと破裂したのだ。俺の体を巻き込んで。
手がちぎれ吹っ飛んだ。足もそう。体のあちこちに巻き付いていた触手は容赦なく俺の体を道連れに自滅する。当然首もだ。
最期意識がなくなる前に目にしたものは、天が再び破れその裂け目からフミコが吐き出される姿。まるで吐き出されたスイカの種のように放物線を描いて落ちてゆく。
『ハイ終了。ここから取り出しの作業めんどくせーな。全部廃棄でいいのに』
『そういうなよ、238はプルトニウムちゃんになって使えるだろう』
『235は初期量少ないし。もっとたくさん取れればいいのに』
『まあいいじゃん、使い回しできるんだからさ。夢の核燃料サイクルだろ。理論上ではだけど』
俺らの上にまた天の声が降る。それは天というには下品で俗物的だった。
死んでいるのにどうして声が聞こえるのかって?
実は俺は死んでいない。死ぬことはないんだ、だって俺は生物じゃないから。
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