for o'clock -黄昏-

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「…でも、ごめんね。わたし、まだ物足りないの。」  そう一言謝ると、私は枯れたオシロイバナを根元から掴み地面から引き抜いた。仮死状態だった所を無理矢理起こされたためか、ブチブチと断末魔を上げながらその逞しい根っ子が露になる。 「あはっ。やっぱり大きい。私の栄養吸ってたんだもん。当然だよね。」  へたれることなく立派にそそりたつその根っ子の先端を、私は膣穴に向ける。さっきからヒクヒク動いて待ちきれなかったのだ。濡れに濡れた私の身体は躊躇うことなく向かい入れた。 「あぁ。はああぁ。これ。これがほしかったのぉお。」  情熱的な最後の秋の夜長では感じることができなかった太く、硬い感触を私は一心不乱に味わう。上下に出し入れし、時には左右にかき混ぜて、グチュグチュと掻き鳴らす私はきっとこの上無い程情けなく見苦しい雌の顔をしているに違いない。それでも、数多の雄を食い付くし、性に溺れたこの身体は花の愛情だけでは我慢できなかった。 「はぁあああ!!いいっ!!ゾリゾリして!!ピリピリしてっ!!きもちいいぃー!!イク、イクゥウうぅぅー!!」  土と毒の感触も相まって、想像を絶するオーガズムに達する。極度のエクスタシーに支配された私は、体中の全水分を根っ子に吸いとられたのでは無いかと錯覚した。事実、引き抜いた秘穴からは潮が一滴も溢れることは無かった。獣の私はまるで狼男の如く、迫りくる朝焼けに向かって遠吠えしてしまった。  根っ子を地面に戻し、労る様に土を隙間なく被せていく。しこたま栄養を蓄えたとはいえ、次に花を咲かせるのは半年後。この身にとっては呪いかと思うほど長い時間を待たねばならない。寂しさに押し潰されそうになるが、それでも私は来るその時まで待ち続けることに決めた。極上の優しさと快楽を知った今の私なら、もう繋ぎで他のつまらない男を食う気はさらさら起こらないだろう。  空にはようやく太陽が登り初め、その場を名残惜しく去ろうとする私を焼き付くさんとばかり照らす。あまりに眩しすぎるその黄昏に、私は憎悪を込めて睨み返した。  
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