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どんなことにも理由がある、というのは、俺の先生の口癖だ。
――最近あっついのも、今日は蕎麦が食いたいのも、どんな些細なことにも必ず理由がある。どんなにしょーもない理由やったとしても、それを考えて、自分で発見することには大きな意味がある。考えることを止めたらあかん。絶対に、思考を止めたらあかんのや。
先生はいつも俺の思考を促し、どんな下らない考えにも耳を傾けてくれた。もう長いこと会えていない。それでもずっと、先生は俺に語り掛けている。
――ええから考えてみ。
わからないです、というと必ず鉄拳が飛んできたものだが、今はその拳にすがりたいほど、どうしたらいいかわからない。
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