天使は確かに存在する

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 空にはベルベットのカーテンがひかれ、あたりは深い闇色に染まっている。青白い月光が大聖堂に降り注ぎ、天に浮かぶ聖母を優しく照らしていた。  月明かりに揺らめく二つの微かな光。それは厳粛なパイプオルガンの上で踊るように弾んだり、蝋燭に灯る炎のまわりをふわふわ漂ったりと、まるで遊んでいるようだった。 「見て見て、ラナ。真っ赤に燃える星がある」 「本当だ。でも君が選ぶのはどれもこれも眩しすぎるよ」 「だってどうしたって目を惹くんだもの。綺麗だなあ。そうだ、まるでアンタレスの輝きみたい」 「ああ、マナ。君はそそっかしいから落としてしまいそう」 「大丈夫」  彼らが囁く声は、風の音や鳥の羽ばたき、時には瑞々しい草花や甘い焼き菓子の匂いとなって聴こえてくる。まるで楽譜のないメロディを紡いでいるようだ。
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