天使は確かに存在する

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「ごらんよ。この星は王様だったんだ。偉い王様さ。自信と威厳に満ちていて、みんなに慕われて。それでこんな風に赤々と燃えているんだ」 「連れていくの?」 「うん」 ふたりは真紅に燃える星を覗き込み、頷いた。 「君がアンタレスを選ぶのなら、僕はこの星にしよう。ほら、蠍の尾の星、サルガスみたいだ。淡い光だけれど、決して消えはしないんだよ」 「ふうん。強いの?」 「マナ、強さにだって色々あるんだ」 淡い光の中に映る星の記憶。真実の発見に、嘘つきだと罵られ認められなくとも決して信念を曲げなかった。 「僕はこのサルガスと、ああ、ほら星々が呼んでいる。仲間がいたんだ。ジュバとシャウラも連れて行くよ」 「じゃあ僕はあっちのベガ。眩しいくらいに白く輝いてるから」  眼下に広がる無数の光を眺めながら、ふたりはお気に入りの星を並べていく。 「次はどの星座にする? せっかく蠍座と琴座ができたんだ。夜空を僕とラナで作ろうよ」 「面白そうだね」
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