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人生時計
高校生のとき、先生が言っていた。
人生を、午前零時から始まる一日に置きかえると、
年齢を三で割った数字が時刻になる、と。
そうして、こう言った。
十八、というのは三で割ると六ですね。
六時というのは、もう起きている人もいるし、
まだ寝ている人もいるわけです。
起きるということが何を指すのか、わからなかったけれど、
自分以外のことを考えるとか、
社会に貢献するとか、
そういうことだろうと感じていた。
一日は二十四時間。
だから七十二歳で一日が終わるわけで。
けれど、今は人生百年。
それなら四で割ったくらいが時刻になるのだろうか。
九十六歳で一日が終わる。
随分と違う。
六十歳になったとき、
私は、三で割った午後八時だろうか。
それとも、四で割った午後三時だろうか。
随分と違う。
幼いころに聞いた、人生八十年は、
今は、人生百年になっていて、
それなら時間の進みはゆっくりになるのだろうか。
午前六時は二十四歳なんだろうか。
二十八の私は、
仕事場にいる午前九時過ぎだろうか、
それとも、朝食をとる午前七時だろうか。
昼間がゆっくりになればいいと思った。
目覚めは早くて、
そこから時間がゆっくり進んで、
そうして長い時間を過ごせたらいいと思った。
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