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この日、僕は中学の帰りで友達の裕太と一緒に電車に乗っていた
僕「はぁやっと帰れる〜」
家までは電車で1時間くらいだ。
裕太「なんだよ、ため息なんかついて」
僕「裕太はこれから習い事だっけ?頑張るよなー」
裕太はこの頃空手を習っていた
僕「空手って楽しいか?」
裕太「楽しいぞ お前も習ってみないか?」
僕「いや、遠慮しとくよ」
会話をしながら電車に揺られているとウトウトして、いつのまにか寝てしまった。
15分くらい寝ていただろうか
目が覚めると裕太もいつのまにか眠っていた。
家まではあと30分くらいかかりそうだ
仕方なく、外をボーッと眺めていた
するとなんだか目の前が真っ白になった気がした。
そこに映し出されているのは裕太らしき人とその友達だろうか、がバスに乗って楽しそうに話しをしていた。そのバスが突然爆発したのだ。その途端映像が途切れた。
幻覚か、頭を少し横に振ると景色が戻った。
今のは何だったのだろうか?
そんなことを考えているうちに家の最寄駅に着いた。
僕は裕太を起こし、改札を出た。
僕はその後、裕太と別れ家へ帰宅した。
家に帰ると、僕の愛犬ゴールデンレトリバーのルックが出迎えてくれた。
ルックはまだ小さい赤ちゃんだ。
ペロペロと僕の顔を舐める くすぐったいが可愛いから何でも許してしまう。
父母は隣で定食屋をやっているから帰りはいつも20時ごろだ。
僕は疲れたのでとりあえず風呂に入ることにした
だが、風呂に入ろうとするとルックがなかなか離れてくれない。寂しいのだろう、仕方なく一緒に風呂に入ってあげた
いつもではないがたまにこうして一緒に風呂に入る 幸い、赤ちゃんだから良いものもこれが大きくなると...
風呂から上がり、テレビを見ていると、
「ガチャ」
母の美紀が帰ってきた。
ルックは大急ぎで玄関へ出迎いに行く。
たまに壁にぶつかりながら。
母によると父は明日の仕込みをしていて遅くなるらしい。
母が料理を作っている間、ルックとテレビを見ていた。
夜食ができ、テーブルについた途端、テレビの画面に緊急速報が流れた。
どうせ政治家か誰かが何かをやらかしたのだろうと思い、気にとめなかった。
しかしながら母の美紀は目を離さない。
その時、母が見てみてと言う そこにはバスが横転し、火花が散っている一部始終が画面上に映し出されていた。
今のところ、怪我人などは出ておらず、大丈夫だろうと安心していた。
その後、父の敏文が帰ってき、親子3人と犬一匹で楽しくご飯を食べながらテレビを観ていた。もちろんルックはドッグフードだ。
テレビを観ているとさっきのバス事故の様子が映し出された。
そこには死者5名、怪我人13名と表示されている。 まさかそれほどの事故だったとは思わなかった。次いで亡くなった人の名前が表示されるー僕はその時持っていた箸をうっかりといや、確実に落とし口をあんぐりさせた。そこにはなんと田口裕太の名前が...
田口とは裕太の名字だ。
空手の道着を着ている姿と共に表示されていた。他にも同じ姿の子が2人映っている。
まさか裕太の乗っていたバスだなんて信じられなかった。食事中だが僕は反射的に裕太の家に電話をかけていた。繋がらない..どうやら警察署に呼ばれているらしい。
僕たち家族は田口家と仲が良かったためみんな口をあんぐりさせていた。
次の日、学校へ行くとー裕太の席には花が一輪添えられていた。
本当に裕太は...とその時確信してしまった。
先生が涙ながらに教室に入ってき、昨晩の事故について説明した。
先生「昨晩のバス事故で田口裕太くんが亡くなりました。原因はガス漏れによるガス爆発だそうです。裕太くんは空手に向かっている途中、事故に巻き込まれたみたいです。」
一通り説明した後先生はさらに大きく泣いた。
クラスメイトも涙ぐんでいる人が数名いた。
それにしても変だと思った 裕太は普段、空手に向かう時電車で行くはずだ。
裕太曰くそっちの方が安く済むからだそうだ。
なのに昨夜はなぜバスで行ったのか。
もしかすると電車がなかったのか、同じ道場の子がバスで行こうと言ったのか、
いろいろ考えてみる。
すると、昨日の出来事を思い出した。
電車に乗って帰っている時、目の前に白いモヤみたいなのがかかり、裕太がバス事故に巻き込まれる1幕があった。
“まさか”とは思ったがそんなはずあるわけがない、あれはたまたまだと自分に言い聞かせた。
その時はまだそんなに気にも止めなかった....
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