第2章 1

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第2章 1

バス事故から1週間ー 裕太が亡くなったことにもようやく実感が湧いてきて、僕は少し鬱になりかけていた。 母「どうしたの?最近元気ないみたいだけど」 僕「裕太が死んで一週間かと思って」 母「そうね、でも裕太くんの家族はもっと辛いんだから」 それもそうだ、裕太の両親は僕ら以上に悲しいんだと顔を上に上げ、家を出た。 教室へ着くと、裕太の席はなくなっていた。 皆もまた落ち込んでいた。 クラスメイトが1人欠けたのだから当然だ。 その中で誰よりも明るく振舞っていたのがクラス委員長の結城梨香だった。 梨香「ほらみんな今日も明るく頑張ろうよ!」 梨香の言葉に励まされる者は多かったが僕は心の傷が癒えなかった。 そんな時、梨香が僕の目の前に来た。 梨香「ほらほら元気出しなって!」 梨香はこうやって時々僕のことを心身に励ましに来てくれてた。 僕「…」 梨香「もう!そんなんじゃ天国の裕太くんに怒られるよ?」 僕「...」 梨香「仕方ないなぁ、放課後ちょっと付き合って」 そう梨香に言われたが僕は返事する気力もなかった。 放課後ー 帰ろうとしたが、梨香に止められた。 梨香「待って!放課後付き合ってって言ったでしょ」 僕はすっかり忘れていた。 僕「何の用事?」 梨香「秘密」 僕は仕方なく梨香について行った。 学校から出て20分くらいか、家とは真逆の方向に向かって進んでいた。 僕「ねぇどこ行くの?」 梨香は返答せずしばらく黙って歩いていると着いた先は梨香の家だった。 梨香「とうちゃーく!」 僕「なんだよ、こんなとこまで」 梨香「こんなとこって失礼な」 僕はわけも分からず梨香の家の中へ入っていった。僕が招待されたのは梨香の部屋だった。 僕「なんだよ、早く用件を言えよ」 すると、梨香が引き出しから一枚の写真を取り出した。そこには女の子1人と男の子が2人写っていた。 梨香「これ私ね」 写真の女の子は梨香らしい。 梨香「でこっちが地元の友達と裕太」 梨香と裕太が小さい頃から仲の良いことは裕太から聞かされていた。 梨香「私ね、本当はものすごく悲しいんだよ。」小さい頃から一緒だったらそりゃ僕には理解出来ないほど悲しいだろう。 当然だと思った。僕は中学に入って裕太と知り合ったのだから 梨香を見ていると誰よりも悲しんだということが伝わってきた。 梨香「ねぇ悲しいからしばらく一緒にいてくれない?今日は親も出張でいないんだ」 僕「別にいいけど」 と僕はしばらく梨香が落ち着くまで梨香の部屋に居座ることにした。 僕「裕太とはどのくらい仲良かったの?」 梨香「それは他人には理解出来ないよ」 この後も僕は裕太と梨香について聞いた。 話し込んでいると外はもう暗くなり始めていた。 僕「もう遅いから帰るね」 と言うと、梨香はまだいて欲しいと言う。 梨香「せっかくだからご飯食べてって」 僕「え、それは悪いよ」 梨香「いいからいいから」 僕は半ば強引に梨香の誘いに乗った。親にも一応連絡を入れといた。 その日、梨香の家で夕食を食べ、僕は家へ帰った。
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