図書恋愛 ー起ー

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図書恋愛 ー起ー

次の日 今日はバイトがあったので図書館には立ち寄れ無かったがバイトの帰りに最寄りの駅近くにある本屋に寄り予約していた本を受取りに行った。 カウンターで本を受け取っている時に横から何者かの視線を感じる。 俺はちらっと気になった方に目を向けた。 すると、目が合った。 図書館にいたあの女性と... 「あ!君!やっぱり君じゃない!」 女性は俺が目を向けたのに気付くとズケズケと近くまで歩み寄って来た。 「今日、図書館に来てなかったけど何かあったの?ほぼ毎日あの時間に来てたじゃない?」 ほぼ毎日来ている。確かにそうなのだが 何で赤の他人である僕をそこまで認知しているのか、少し怖くなったけれど口には出さない。 「今日はバイトだったので、それだけです。」 俺は女性からの質問へぶっきらぼうに返した。 店員から本を受け取る。 「へぇ...あっ!その本!私も買おうと思ってたんだけどさ~売り切れちゃってて。」 女性は俺が受け取った本を指差して言った。 「予約はしなかったんですか?」 「うーん...予約ねぇ...私、店頭に並んでるのから買いたいのよねぇ...わかる?この気持ち?」 わからないでもないが、この本の作家は 本好きにはとても有名で本屋に並べば 速攻売り切れるのは想像に難くは無かった。 「この作者、有名な人なんですよ?予約しないとすぐに売り切れちゃいますよ。」 俺は女性に忠告した。 女性は残念そうな顔をしながら 「そっか~そうだよねーだって、この人の書く本全部面白いもん!今回の新作も【悪魔の初恋】ってタイトルだけで読書意欲を祖剃られるしね!予約すれば良かったかな~ちょっと在庫あるか確認してみるけどー無かったら重版されるのを待つしかないわね...」 女性は一人でべらべらと俺の顔を見て喋っている。 「?どうしたの?君?何か凄い変な顔しているよ? 「いや、よく喋るなって...」 「そうなの!私、結構おしゃべりでねー 友達にも同じ事言われた!」 女性は笑顔で答えた。 そういえば、俺の友達にもずっと喋っている奴がいる。僕はあんまり口数が多いわけでは無いから、そんなに喋って口が疲れないのかなと思う。 「おーいヨッシー何やってるのー?」 不意に女性の背後から声がした。 女性は振り替えって、その声の主に手を降る。 「あー、ミナこっちこっち~」 ミナと呼ばれた女性は俺の目の前の女性に近づき 「もう、何やってるのー?LINEちゃんとみた...って...えーと。。。誰?」 歩み寄って来た女性は僕の存在に気付くと俺を指差した。 「彼氏?」 「いやいや、そんなわけないでしょ~女子会するのに彼氏連れてくるなんて私もさすがに そんな事はしないよ~」 「だよね~でも、だったら何で彼はヨッシーの近くにいるの?あ...もしかして...」 ミナと呼ばれた女性が僕に向ける視線が穢らわしい者を見る目に変わって行く。 「ミナ、怪しい人じゃないから安心して ちょっと図書館で出来た友達だから。」 友達?僕は友達になった覚えは全く無いのだが... 「あ、そうなの。ふーん...」 ミナと呼ばれた女性は僕をじろじろと見る。 俺は一応、会釈だけしておいた。 「あ、どうも。」 女性も会釈を返してくれた。 「あ、それより...みんな集まってるからもう行くよ!ほら!はやくはやく!」 ミナと呼ばれた女性はヨッシーと呼称した女性の腕を引っ張る。 「わ!わわわ!行くから!ちょっと腕引っ張らないで!あっ...あの本の感想待ってるからね!じゃ...じゃあ、また明日~」 女性は俺に手を降るとミナと呼称した女性に 連れられ本屋を後にした。
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