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健吾と和馬
「お前さ、昨日の夜彼女と駅前歩いてただろ?」
学校で中休み時間に友達の健吾が唐突に質問してきた。
俺は一瞬頭の動きが止まって健吾の顔を数秒見るだけだ。言葉を発するのを脳が忘れている。
健吾「いつからの彼女?」
「・・・いつ頃の話?」
俺は健吾の二言目でついに健吾の言葉に対しての反応が顔からだけじゃなく、やっと声でも応じた。
健吾「和馬と俺がばっちり目撃してたんだからなー女と歩いてる所。とぼけても無駄だぞ~?」
俺は健吾の隣に立つ和馬の顔を見る。
和馬「つーかさぁ!お前あんな可愛い彼女がいるなら俺にも教えろよなー!うーらーやーまーしーいー!」
和馬は駄々っ子みたいに足をバタバタさせる。
健吾「まぁ、落ち着けこいつの彼女さんがこいつ飽きたらチャンスあるって。」
和馬「あ、そっか!まだチャンスはあんのか!」
健吾「うん、とりまLINEID貰っとこうぜ。彼氏の友達って事で追加してくれるやろ。」
和馬「やな!」
「いや、まてまてまて!話進みすぎ!彼女?
そんなのいねーし、昨日歩いていた女の人は
図書館で知り合った女の人でLINEのIDも交換してないぞ?」
和馬「お前さ、誤魔化すの下手すぎ。図書館で知り合っただけであんな近い距離で歩けるわけねーだろ!あんな可愛い女子とさ!」
健吾「めっちゃ可愛いかったよな!あの人!」^
和馬「付き合わせろよ!」
「いや、俺にたのむなよ!」
和馬「じゃあ、誰に頼めばいいんだよ!」
「知らないよ!あと、あの女の人が俺の彼女と言う前提で話すな!!」
俺は頭を掻きながら話を続ける。
「たまたま帰り道が一緒だっただけ、距離が近かったのも、女の人から近づいてただけで
俺から近づいてたわけじゃないぞ。」
「ふーん、それってつまりモテるアピール?
うわ~マージかーー~...」
健吾があちゃ~と頭を抱える。
「彼女なんかいらんって調子のってた奴はどこのどいつですかねー?」
和馬が俺の顔を指で突く。
「だから、彼女じゃないって!ほら、俺のLINE見てみろよ。」
俺はポケットからケータイを取り出して二人に見せる。
「ん?」
俺は和馬に渡して
「ほら、確認してみろよ。女子はクラスメイトしかいないし浮いた話なんか無いってわかるだろ?」
二人は渡されたケータイの画面をスクロールしてガン見しながら内容を確認している。
和馬「確かに、女子は高校の奴しかいねーな。」
健吾「でも高校の奴かもしんねーぞ?」
和馬「いや、あれは高校の奴じゃない。俺、女の子みる眼だけは鷹並みに冴えてるから。」
健吾「マジで?さすがプレイボーイだな。」
「で?二人ともご理解頂けましたか?」
健吾「まぁ、うん。」
和馬「浮いた話では無さそうやな...まだ確証じゃないけど。」
「じゃあ、この話はおしまいっと。」
、
和馬「いや、待て。」
和馬が俺に手を出して制する。
「なんだよ?まだあるの?」
和馬「俺の連絡先交換させてくれない?その女子と」
健吾「は?ずりー!!俺も俺も!」
和馬「お前は彼女いるだろ!」
健吾「友達になるぐらいいーじゃんかよー!つーか和馬も昨日まで彼女がメンヘラってわかってTwitterの鍵アカで病んでたくせに!」
和馬「そ、それは今関係ないだろ!」
「あのな、お前ら、俺が連絡先交換してない
相手にどうやってお前らの連絡先教えろって言うんだよ。」
健吾「そりゃ、お前が連絡先交換するついでに俺のIDも教えりゃいいんじゃねーの?」
「そんな回りくどいするくらいなら自分から交換すればいいじゃねーの?あの人月水以外なら大体図書館にいるぞ?」
健吾「図書館ってスマホ使えるの?」
「俺が本読んでるスペースは使えるし充電スペースもあったような...」
健吾「じゃあ、行くわ。」
和馬「俺も行く。」
「マジか...。」
何かあの人が俺の彼女と誤解されるようなシチュエーションが起こらないか不安になり、それを誤魔化そうと俺は耳の上を掻く。
和馬「やっぱり本当は彼女さんなのか?何か来てほしくなさそうな顔しただろ?今。」
「いや、ちげーよ。ただ、お前らが図書館の静けさに耐えられるか心配になっただけ、ちなみに俺はお前らをあの人に紹介しないぞ。面倒くさいから。そういうの。」
和馬「そうと決まれば部活終わったら図書館直行な。」
健吾「部活終わったらLINE送るから。じゃ、よろしく。」
和馬「俺もLINE送るからよろしくなモテ男さんっ。」
二人とも俺の肩を叩いた。
それと同時に中休み終わりのチャイムが鳴り
俺と和馬と健吾は教室に戻った。
俺はすこし明日面倒くさい事が起こらないだろうかと不安に思いながら、まぁなんとかなるだろ。と気持ちを切り替えて授業を受ける。
この日の授業が終わり俺は委員会の仕事を終え帰り支度をしている。
辺りは夕日で橙色に輝き、机から反射した光が眩しく感じる。その眩しさで目を擦りながら俺がバッグを持って教室を出ようとした瞬間ケータイのバイブレーションが作動した。
(部活終わった。お前もう図書館向かってる?俺らはもう向かってるぞ。図書館って駅裏のアレだよな?)
和馬からのLINEの音だった。俺は一言「そう。駅裏の」と返事を送ってから教室を後にした。
学校を出た俺は図書館への経路を歩いている。
校舎内でも校庭でも和馬には会わなかった。
きっと部活が終わったらそのまま直行したのだろう。和馬はサッカー部で俺が校舎の外に出た時にはサッカー部は片付けを終えていたから委員会が終わるより先にサッカー部の活動は終わっていたのだろう。
図書館に着くと入り口近くのソファーで雑誌を読んでいる和馬の姿が目に入った。俺は
このまま無視していつも読書しているスペースに行こうとしたが和馬が俺に気づき雑誌を閉じてこっちに駆け寄った。
和馬「やっと来たなーお前。あ、健吾も来てるから。」
健吾「よっ。」
和馬の後ろに座っていた健吾がこちらに顔を見せ挨拶した。
和馬「で、あの美人さんはどちら?」
健吾「誘うのは俺が先だからなー」
「お前らな...ここはナンパの場所じゃないぞ...」
俺は呆れた顔で二人を一瞥する。
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