健吾と和馬

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健吾と和馬

俺はいつも座ってる席に向かう、二人が後ろから着いてくる。 普段、俺が使ってる読書スペースは二階にあり机と椅子が陳列されていて、その近くに単行本の棚がある。一階には文庫本と洋書と雑誌と読書スペースがある。一階の読書スペースはPCスマホは使用不可で二階は使用可能。階段を昇るとすぐ近くに棚があり俺はいつも通り好きな作家の本を取ってからいつも通り席に座った。 健吾「なぁ、あの人?」 健吾が俺から100センチ隣に座っている女性を指差す。 「おい、人を指差すなよ。」 健吾「声掛けねーの?」 「別に俺から話すことなんてねーし、読書中に話かけるのはよくないから」 和馬「え~そんなこと言ってねーで声掛けろよ~昨日二人で夜道を歩いた仲なんだろ~? 「そ、その言い方やめろよ...」 俺が二人とコソコソ喋ってると渦中の女性が チラッとこっちを向き俺達の存在に気づいた。 女性「わっ!?びっくりした・・・来てたんだ。あれ?友達?」 健吾「あ...いや...あー...えーと...あー~」 さっきまで俺を誂っていた男、健吾は女性に顔を向けられた瞬間に挙動不審になった。 (おい、さっきまでの調子はどこ言ったんだよお前...) 「友達ですよ」 女性「君、友達なんていたんだ。」 「いますよ。僕を何だと思ってるんですか。。。」 女性「あはははっ冗談だよ!じょーだん♪いつも小説読んるイメージがあるからさーあまり友達がいる印象が無かったんだよねぇ...」 「それは貴女も同じじゃないですか。」 女性「へへへ、確かに、そうだね。」 女性はニッコリ笑いその瞬間俺の隣に座る友達二人が俺の背中をつねった。 「いっ!?」 女性「どうしたの?」 「い、いや何でも...」 何事も無かったのように女性の方に顔を向けた後に俺は友達に抗議の視線を送る。 「(何?)」 和馬「(やっばり彼女だろ。)」 「(ちげーって。)」 女性「何コソコソ話しているのかな?」 女性が背を向けて友達と話す俺に声を掛ける。 「あー...実はこの二人昨日俺と貴女が一緒に帰ってたの目撃してて彼氏彼女じゃないか?と勘違いして...」 女性「あー...そういうことね~」 吉田という名字の女性が二人を見ながらウンウンと頷く。 「俺からは彼女でも何でも無いって伝えたんすけど。そしたら二人が何でか貴女に会いたいって言い出して...」 「何で?私に?」 女性は二人に目を向けながら自分の顔を指差して聞く。 健吾「え...えーと...。」 和馬「どうぞ、続けて。」 「いや、あのー...何を続けろと?」 和馬「俺たちの紹介を。」 「それぐらい自分でやれよ。」 健吾「いや、どうぞ。」 「お前らなぁ...」 「実はこの二人がLINE交換したいって言い出して」 女性「え?私と祐介君は交換してないのに?」 「いっ...今、名前呼びはやめてください。」 女性「何で?あと、私のこと貴女じゃなくて名前で読んでよー教えたでしょ?みゆきって」 和馬「祐介?これはどういうことかな?」 後ろから囁くように俺に問いを掛ける声が耳に入った。 女性「てゆーか祐介くんLINEやってるんだ。じゃあ交換しようよ。」 和馬「じゃあ、俺も良いですか!?」 女性「うーん...祐介くんの友達なら良いかな。」 俺の前に割り込んで友達が女性にLINE交換をお願いすると女性は頷いた。 「えっ!?良いんですか!?」 二人より先に俺が先に声を上げた。 女性「え?別に良いよ~祐介くんの友達なら怪しくないでしょ?今見た感じもヤバい人そうじゃないし」 隣の友人二人が無言でガッツポーズをする。 その二人を見て女性は驚いた様子で 女性「そ、そんなに嬉しいの?」 と勝手に喜んでいる俺の友人二人を見る。 「はい!」 和馬と健吾が元気よく頷く。 二人の声が静かな室内に響いてしまい、近くでパソコンを使い作業をしているおじさんが俺達をギロッと睨んだ。 「おい!お前ら、声でかい!だから運動部を図書館に連れてくるのは嫌だったんだよ。」 健吾「わりー、つい嬉しくって。てゆーかマジで美人だな。」 和馬「あぁ、昨日は遠目だったけど至近距離の破壊力ヤバいな」 二人がボソボソと喋っていると 女性がこちらに近づくや二人に話掛ける。 女性「何をゴニョゴニョ喋ってるのかな?」 健吾「な、なんでもないっす!」 女性「本当に?」 和馬「祐介にみゆきさんって美人だなって話してました。」 女性「えっ本当に~?もう!誉めてもなんも出ないぞ!」 と言いながら俺を叩く女性、そのシーンを見て二人が何故か俺を殺気立った目で睨む。・・・いや、今ので俺を睨むのはおかしいだろ。 女性「あっ!そうだ。今からケーキバイキングを食べに行こうと思うんだけど三人とも来る?」 健吾「えっ...着いてって良いんですか??」 女性「いいよー。祐介くんも来るでしょ?」 「俺は別に良いっすよ。読みたい本もあるんで。」 女性「え~じゃあ、行かない。」 僕が女性の誘いを断ると女性は膨れっ面をした。 健吾「(おいおいおいおいおいおいおいおい! お前ふざけんなよ!行くって言え!行くって!!!)」 和馬「(この流れで行かないとかマジでふざけんなよ祐介)」 二人が俺を凄い顔で睨む。二人の目が怖くて 怯んだ俺はバイキング行きを承諾してしまう。 「やっぱ...行きます。」 女性「よろしい!じゃあ、さっそく行こうか?」 膨れっ面になっていた女性が笑顔に戻った。 女性「今から行くよ?限定メニュー今から発売だし人気だからすぐに取られちゃうんだ~」 女性は立ち上がり準備を始める。 「よし!行くよ!」 「おう!」 バッグを肩に掛けて歩きだした女性の後を 友達二人が着いて行く。 そして、俺も3人の後ろを渋々着いて行くのであった。
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