100個の殺人計画

2/2
17人が本棚に入れています
本棚に追加
/2ページ
「夫が料理を食べた途端苦しみ出して、息をしてないんです。 早く来てください」 夫の死体を見て、気が動転して泣きじゃくる妻を演じながら、警察に電話をかけた。 刑事は直ぐに家に来て、夫の死体を見ている。 別の刑事が夫の部屋に入っていった。 私は夫の部屋の前でずっと泣く演技を続けた。 「奥さん、失礼ですが夫婦仲は悪かったのですか?」 「そんな事ありません。 夫は優しい人でしたし……どうしてそんな事を?まさか、私が疑われているのですか?」 「違います。 残念ですが、旦那さんは奥さんを殺したいと思っていたようですね。 スマホのメモ帳に奥さんを殺すための方法が100個も書いてあります」 「えっ? えっ? あなた、嘘でしょ?」 半狂乱になる演技をする。 私は元演劇部なのだ。 このくらいの演技は余裕で出来る。 「いくつかの毒物が部屋にありました。 この料理に毒を入れて奥さんを殺そうと計画したのでしよう。 100も考えた割には1番単純な方法です。 毒を入れた料理を間違えて食べるなんてありえないと思いますが、心当たりはありますか?」 「私が料理を出している時、夫はトイレに行きました。 私の前に置いた方がサラダの盛り付けの方が綺麗だったので、夫のサラダと代えて…… 夫はサラダを食べた途端苦しみだしたんです」 警察署に行き、その話を何度もする事になった。 しばらくすると、夫に殺されそうになったかわいそうな妻ということで帰してもらえた。 くくくくっ、あなたって本当にバカ。 部屋の鍵を閉めたって合鍵を作ってあるに決まっているじゃない。 スマホもロックしても、あなたの部屋につけた防犯カメラで暗証番号はすぐにわかったわ。 バカな男。 100も考えて、結局1番単純な方法を使うのも、あなたの性格からわかっていたわ。 大丈夫よ。 可哀想な妻をしばらく演じてあげる。 保険金をもらわないといけないしね。 さようなら、バカな男。 私には彼氏がいるの。 しばらくは会えないけど、一年後には入籍をするつもりよ。 あなたよりずっとお金持ちなの。
/2ページ

最初のコメントを投稿しよう!