100個の殺人計画

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「ご飯、出来たわよ」 階下から俺を呼ぶ、妻の美紗子の声 僅かに顔を顰めながら、溜息をつく。 「今行く……」 重い腰を上げて、食卓へと向かった。 「今日はカルボナーラよ」 そう言って出された料理は、 盛り付けはとても綺麗なのに、どうしてこんなに特徴的な味をしているのだろう。 はっきり言って、美紗子の料理は激マズだ。 美紗子結婚してからというもの、5年間で体重は5キロも減ってしまった。 憂鬱な理由はそれだけではない。 飯を囲みながら、美紗子から毎晩のように聞かされる近所の人の悪口。 そして、いつの間にか美紗子は俺への不満を口にする。 「山下さんの息子さん、今学校に行ってないんだって。 ずっと部屋に引きこもってるらしいわよ。 親不孝な息子さんね」 「隣の宮本さん、趣味でピアノを始めたんですって。 防音の部屋にしてないから煩くて堪らないわよ」 「貴方、今月の給料減っているじゃない。 ボーナスはちゃんと貰えるの?」 悪口を聞きながら食べる不味い料理は最悪だ。 美紗子は美人でコミュ力が高い。 美紗子の周りには信者が集まってくる。 そして、美紗子は毎週女子会という名の高級なランチ会を主催する。 そのお金は俺の給料から出ている。 俺たち夫婦には、子どもはいない。 妻が、結婚前に子どもは嫌いだから欲しくないと言ったから。 結婚5年目の今はセックスレスで、寝室も別だ。 俺が離婚したいと言っても、美紗子は絶対離婚はしないと言う。 それでも、俺はずっと我慢してきた。 会社で過労死するかと思うほど働いた後、家に帰れば、美紗子は既に寝ていてテーブルの上にはコンビニ弁当が置いてある日が多くなった。 寝ている美紗子の首を絞めようと何度思った事だろう。 美紗子を殺したい。 美紗子が死ねばいい。 美紗子死んでくれ。 毎日夢の中で美紗子を殺している。 俺は半年前から寝る前に美紗子を偶然に見せかけて殺す方法を何種類も考え、スマホに書いている。 もちろん、美紗子に覗かれないように部屋には鍵をかけ、スマホにはロックをかけている。 絶対俺が疑われない方法、その殺人計画のアイデアもとうとう100個になった。 俺たちは仲の良い夫婦で通っているから、美紗子が死んでも俺は疑われないはず。 毒物もネットの絶対に身バレしないサイトを使い手に入れた。 そろそろ、今まで書いた100個の殺人計画の中から一つに絞って実行しようと思う。
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