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対10人の忍者
こんな地下室は嫌だったので、俺は扉に歩いて近づいていく。
だが、そう簡単にこの地下室から出ることは許されないらしい。
手裏剣がどこからともなく飛んできて、俺の左耳をかすめて、後ろの壁に突き刺さったんだ。俺の耳が良くなければ手裏剣が飛んでくる音に気づけなかっただろう。
どこから投げた?15メートル先の天井付近から投げたように思えるが、はっきりと分からない。
「静かに攻撃してくる忍者だな。そんな君らには『ぺールギュント』の『朝』だ」
フルートやオーボエのメロディがスマホのスピーカーから流れてくる。このメロディを突き刺すように、左後方9メートル付近から吹き矢が飛んできたので、指揮棒を振って軌道を操る。
吹き矢から放たれた矢はそのまま天井に昇っていき、見事に天井に隠れていた忍者その1に命中した。うめき声とともに、手裏剣を構えたまま忍者が落下してきた。
手に持っていた手裏剣を利用させてもらう。ストリングスのメロディと共に手裏剣を操り、左後方9メートルの壁に隠れみの術をしていた吹き矢忍者に命中させた。
バタンと倒れた吹き矢忍者を横目で確認するが、油断はできない。
扉から忍び足で駆け寄ってきた忍者のクナイの動きを目で追い、バイオリンの旋律とともに俺はタクトを操った。クナイを背後に右後方に隠れていた鎖がま忍者の背中に命中させると同時に、鎖がまをクナイ忍者の頭にヒットさせて倒す。
すかさず扉から煙がのぼってきて、6人の忍者が煙に隠れながら突入してくる。
ホルンの旋律と共にタクトを振って、この6人の忍者もそれぞれに攻撃させてフィニッシュよ。小賢しく分身の術を使って倍の12人に増えていたが、俺の耳と目の良さなら本物を見極めることは容易かったね。
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