対80人の嫌な奴ら

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対80人の嫌な奴ら

俺は扉を開けて地下室から出ていく。だが、当分地上には出られそうもないと気づくんだ。 地下室から出た先も巨大な地下空間だ。まったく金持ちは何が楽しくて、こんな地下空間作るんだ? ひたすら巨大な地下空間を歩きながら、刺客を倒し続けたさ。 まず、アメフトマンが10人向かってきたのは容易かった。俺の目を見ないようにしていたが無駄だ。俺が見て指揮すれば簡単に転ばせてタッチダウンできる。 次に10人のバンドマンを連れてきたのはいいアイデアだ。 ギターやベースの音も良かったし、俺がスマホでかけたクラシックの名曲をかき消してくれた。だが、腕のいいミュージシャンの演奏すら、俺の指揮で操ることができる。ビートルズのカバーから『ローマの祭り』に変えてやった後、仲良く眠ってもらったわ。 10人もセイレーンを集めてきたのは、さすが金持ちだと感じたよ。セイレーンの歌声は甘く、さすがの俺も誘惑されて食い殺される寸前までいった。だが、俺はしっかりと音をさえぎる特製コードレスイヤホンを持っていたので、歌声を遮断したら楽勝さ。セイレーンの歌声を指揮してビバルディの『春』に変えて、そのまま眠ってもらった。 20体もドラゴンが出てきたのは、さすがにビックリしたぜ。そもそもデカすぎて、操るのが困難だ。口からの炎をよけて、尻尾攻撃もギリギリでよけて、一番小さいドラゴンから狙った。『火星』のメロディと共に見事に操って、小さいドラゴンを俺専用の動く指揮台になってもらったさ。 小さいドラゴンの背中に乗って、他のドラゴンどもを指揮して地下室を破壊しまくって脱出よ。 ドラゴンのおかげで残りのエスパーやサイボーグや魔法使いやロボット合わせて25体は大したことはなかった。 ドラゴンの群れのおかげで地上に出ることはできた。 だが、最後の5人がやばかったんだ。 3人のコンビニ店員がめちゃくちゃ強かった。『花のワルツ』で指揮したが、そもそも店員同士で指揮系統が出来てるから、俺の司令が届かない。 「いらっしゃいませ!」の声だけで、ドラゴンも俺も盛大に吹っ飛ばされる。 パンやおにぎりを補充するのが速くて、この速さで起こる暴風で近づくこともできない。 かなりやばい状況が続き、疲弊しボロボロになったが、何とか『剣の舞』のメロディに合わせて、ゴロツキや忍者を客として突入させてコンビニピークタイムを作って何とか倒してやった。 99人目の執事もやばかったんだ。まさかの体長42メートルの執事かよ、っていうね。「しつ」で42メートルとか、どうやって生活してんだこの巨人っていう。 めちゃくちゃ踏まれて死にそうになったが、ドラゴン達を指揮して助けてもらい、サイボーグやロボットどももぶつけて、やっとのことで倒したさ。 最後の100人目が、富豪の100歳野郎だよ。100歳だけあって仙人なんだわ。頑張って指揮するんだが、髪の毛1本をふわりとさせるだけで精一杯だ。もう全然操れないし、他のドラゴンも魔法使いもゴロツキも全部バタバタ倒され近づくことすら出来ない。 もうさすがに敵わないとくたばる寸前だったんだが、富豪はこう言うんだ。 「ほっほっほ。なかなか楽しませてもらったぞ、マエストロ。次はより素晴らしいステージを見せてもらおう。今回はこちらの降参じゃ。100万円をやるので、その指揮力に磨きをかけるがよい」 割れたアスファルトの上で満身創痍で倒れている俺の頭の上に100万円の札束を置いて富豪は去っていった。 俺は何とか自力で起き上がり帰宅し、布団で眠る。 100万円は生活費にあてた。 その後、この指揮力が色々なところに知れわたり、色々な場所で指揮したさ。生活費は稼げるようになってきた。 だが富豪が相変わらず刺客を送り込んでくる毎日だ。サイクロプスもゴーレムも麒麟も指揮してやったよ!どんだけ俺のファンなんだ、この富豪が! (終)
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