ずっと一緒

3/14
前へ
/148ページ
次へ
「海斗を保護してくれてありがとう」  ――保護? 「はあ?」  徹さんに抱きついたまま、顔をバッと上げる。 「保護ってどうゆうこと?」  俺の形相に徹さんは苦笑いしてる。 「携帯のGPSで公園にいることがわかったから、優海君に頼んだんだよ。いくら七月だからって野宿は危険だ。変質者がうろついてるかもしれないからね」 「え、……だって、出張……は」  優海へ目を向けると、優海が「てへ」とベロを出した。 「ごめん、兄ちゃん。兄ちゃんの一大事やて康介さんにいうたら、ビジネスホテルに泊まってくれはってん。兄弟水入らずがいいでしょって。康介さんに、もう帰ってきてええよって連絡すんね?」 「……まさみぃ~」  脱力感と共に、魂が抜けだすような声が出た。徹さんを見上げると、ニコッと微笑み「怒らないでくれ」と眉を下げる。 「大丈夫、怒らんよ。怒らんけど、俺めちゃめちゃ情けない」 「海斗はまだ若いんだから、情けない時があっていいんだよ」  徹さんは慈愛の篭った眼差しで俺と優海を交互に見た。 「今までずっと守る立場だったんだから、守られる時があってもいいだろ?」  俺は言葉の意味を噛み締め、唇を結び「うん」と深く頷いた。そんで、優海へ視線を向ける。 「優海、ありがとう! んで、早う電話し? 俺の為に」 「うん!」  ニコニコと頷いて、優海が携帯を耳に当てる。 「早よ帰りたいけど、迷惑かけたし。梶田さんにもちゃんとお礼言わなな」  徹さんを見上げ言うと、徹さんがポケットから黒いカードを取り出した。
/148ページ

最初のコメントを投稿しよう!

524人が本棚に入れています
本棚に追加