おいしいバイト

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「海斗、いい話あるけど」 「ん~? いい話って?」  仕事を終え、バックルームで着替えているとバイト仲間のヒロ君が急に耳より情報を提供してきた。 「お前金なし、家無しなんだろ?」 「お、泊めてくれんの? 今世話になってる友達んとこもそろそろ出なあかんかなぁ~おもててん。助かる!」 「だろ? まぁ、その友達のところにはもうちょっと世話になっとけ」 「はあ? じゃあ、なんなん? ええ話って」 「バイトだよ。なんと一回のデートで十万」 「十万っ!?」  とんでもない金額にバッと乗り出しヒロ君へ詰め寄る。俺の食いつきにヒロ君はちょっとビビりながらもドヤ顔で続けた。 「俺の知り合いから聞いた話でさ、若い子とデートしたいって相手探してるんだと。まぁ、四十代らしいんだけどさ。超セレブな美魔女ってやつ」 「美魔女?」 「そうそう、ゴージャスセレブだからおばちゃんだけどめっちゃ綺麗なやつ」 「へ~」  先週、時給がいいと居酒屋から友達の紹介でこのボーイズバーにバイトを変えた。居酒屋より、一日の稼ぎが五千円もアップした。一か月だと十万のアップ。しかも、居酒屋の時よりも断然楽チンやったりする。こんなええ商売があったとは。なんて思ってたけど、一日で十万って……上には上があるもんやねんなぁ。
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