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翌朝、目を覚ましたら見慣れん立派な寝室やった。
鈍い視界。
眉を寄せ体を起こしボリボリと頬を掻いた。フワフワと視界をさまよわせ。自分を見下ろすと裸やった。そこでようやく昨日のことを思い出す。
そうや、昨日はセレブの運転手……やのおて、徹さんとシてそのまま眠ってもうたんやったっけ。
ベッドの足元にベッドと同じ高さで同じ材質の謎な革張りの椅子。昨日はようわからん小物が置かれとったとこ。そこに新品のバスローブがたたんで置いてある。
四つん這いになってバスローブを取り、それを纏う。ベッドから降り、開いているドアからリビングを覗いた。徹さんはソファに座りコーヒーを飲んでいた。
「おはよおございます」
「おはよう。座ってて」
「どうも」
徹さんはぎこちなく微笑んだ。あの怖い無表情が少しだけ和らいどる。
俺と入れ替わりでソファから立ち上がり、キッチンへ入ると水とオレンジジュースを持ってきてくれた。
「飲むといい」
明るい日差しの入るリビングで見る徹さんも昨夜と同じイケメンさんや。昨日は夜やったから、細かいところまでわからなかったけど、朝日が満ちた部屋の徹さんも間違いなくイケメンやった。
えらいことやってもうたけど、相手がこんなイケメンやったからやろか? あんまり罪悪感的なもの感じん。
「すんません。いただきます」
徹さんはテレビを点けてコーヒーをゆっくり飲み、カップをテーブルへ置いてこちらを見た。
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