もやもや

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 マンションへ到着するなり、徹さんはすぐにお風呂の準備をしてくれはった。俺は湯船にゆるゆるゆったり浸かりながら、今までのことを思い出してた。  キッカケは、数時間で十万稼げる美味しいバイト。若い子好きの美魔女セレブの相手をすると思っとったら、迎えに現れたのは強面な渋い男の人で。それでも、美魔女セレブが最後に現れるんやと全く疑わんかった。  いろいろあって、最終的に俺は十万を貰い男に身体を売った。徹さんは俺を気に入ってくれはったらしゅうて、余ってる部屋に住まわせてくれたんやけど、だからとゆうてそうゆう行為を求められることもなく、ただの居候。そやのに窮地に立つ俺を徹さんは惜しみなく助け続けてくれはった。  ええ人に出会えてホンマに良かった。そう思っとったら、バイト先のヒロ君と徹さんが車の中でイチャついてるのを目撃。アホみたいに泣きながら怒って理解したこと。  ヒロ君は最初から俺をおちょくろうおもて(からかうつもりで)、徹さんを紹介したんやと思う。俺が大金欲しさに男の相手をするか、ビビって逃げ出すか。ヒロ君的にはどうなるか分からんかったんやろうけど、どっちにしろタチの悪いいちびり(冗談)で終わる予定やったんやろう。  ヒロ君は、自分は徹さんのお気に入りって自信があったんかもしれん。でもそんなことを知らん俺は、徹さんの名前こそ出してないけど、ヒロ君に良くしてもらってることをいろいろ話してしもた。それがヒロ君の気に障ったらしい。
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