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中学生の時の校長先生みたいや。
一番偉い人のクセに、偉ぶったとことか無くて、職員室のドアは閉めてあっても、その隣の校長室はいつも開いとった。廊下からヒョイと覗くと、校長先生は直ぐに顔を上げてニコッと笑い「入ってきい」って手招きしてくるねん。別に用があって覗いたわけやないのに。
他の学校ではいじめで登校拒否とか、自殺とか、はたまた教師の欝病とか、悪い噂はようさん聞こえてきとったけど、俺の学校はそんな風でもなかった。いい先生ばかりやったし、学校の雰囲気も良かったと思う。オーバーかもしれんけど、俺と優海にはそれが救いになっとったと思うねん。
徹さんは不器用やし、あの時の校長先生みたいに柔らかいオーラはまだまだ出えへんみたいやけど、心根はきっと同じなんかもな。
思えば、突発的にフラフラいろんな店舗へ顔を出してるんもそっくり。校長もよお抜き打ち授業見学しとったもん。見守る姿勢を示すんと同時に、情報収取ともろもろ発生してまいがちなトラブル予防にもなっとったんやろうな。
「お風呂おおきに。仕事中?」
徹さんは直ぐに手を止めてこっちを見た。
「大丈夫だよ」
椅子の向きを変え、体ごとこっちに向けてくれはる。
「休憩せーへん?」
徹さんはニコッと笑い入口に立つ俺を手招きした。徹さんの寝室には大きいベッドがある。ダブルより大きい。キングサイズ。そこをポンポンと叩き「ここ座ってて」と言ってリビングへ出てった。
お……これは、もしかするともしかするんか?
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