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子供の頃から憧れだった、ディズニーキャストの研修が始まって一週間。今日は金曜日で、徹さんが焼肉屋に連れてってくれた。もちろん徹さんのお店。
「どうだい? 一週間働いてみて」
「え! もう一週間も経っちゃった? って感じ。覚えることもいっぱいやし、ビックリすることだらけやよ。でも、教育係の立川さんもええ感じの人で親切やし」
美味しいお肉と白米で頬を膨らませる。
ホントにいつ食べに来ても徹さんのお店のお肉はめちゃウマッ!
「立川?」
徹さんの右の眉が微妙に上がった。
「知り合い? 立川さん」
「いや」
「カストーディアルのプロやで。五年目やねんて」
「そうか。楽しく研修できてるのなら良かった」
徹さんが微笑む。一瞬、機嫌悪そうに見えたけど勘違いやったみたい。
「うんうん。今は研修中でカストーディアルってキャストやってるってゆったでしょ。清掃業務なんやけど、これが単純な掃除とちゃうねん。ゆうても、俺も東京出てから数回しかディズニーに行ったことなくて、カストーディアルやってる人たち意識して見たことなんてなかってんけどこれが凄いねん! この仕事マジでプロやよ」
「ほう」
徹さんが感心したように頷く。興味持って聞いてくれるんが嬉しい。
「赤ちゃんがな、ハイハイしても汚れんくらい綺麗を保たんとあかんねん!」
「それは素晴らしい意識だね」
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