世にゆう愛欲の日々ってやつ

3/19
520人が本棚に入れています
本棚に追加
/148ページ
「ほんでな。俺らのやってんのは掃除やのうて、ショーやねんて。まず、基本理念ってのを教えられてな? えっとお、SCSEってゆって、Sがセーフティ。安全でしょ。Cがカータシーだったかな? 礼儀正しいって意味なんやて。ほんでSがショー、最後のEがイフィ……シャンシィ? とかで効率。効果的な働きをするって意味。縄張りみたいに担当区域が決まっててな、ゴミが落ちとったら十五分以内に取り除かなあかんねん。でもな、しゃがんだらあかんねんで。ショーやから。腰をかがめてもダメやんねん。こう、背筋をシュッとしてな、華麗にトイブルーム……あ、ほうきな。ちりとりはダストパンいうねん。ダストパンの中にカップインするかの如くスッとしまうねん」  箸を置いて立ち上がり、ゴルフボールをそっと打つ真似をしながら話す。 「なるほど。あくまでもスマートに」 「そうそう、スマートに! しかもな、なんていっても掃除やのうてショーやから。文字の通り、俺自身の行動でゲストに楽しんで貰わなあかんねん。例えば、ゴミをゴミって言ったらあかんねんで。お客さんに何してんですか? とか質問されるとするやろ? ほな、星の欠片を集めてるんだよ。とかゆうねん。ただの会話一つででも楽しんで貰うん。すごない?」  俺は自信満々にどや顔で徹さんに教えてやった。 「ベテランさんなったら、素敵な返ししはるねん。例えば、綺麗な貝殻を集めてアリエルにあげるんだ! とかな。立川さんは古代遺跡が近くにあるから、落ちているお宝を集めているよ、とか言うててん。まさに夢の国やん! そう、夢の国は俺らカストーディアルたちが作り上げてるんよ」
/148ページ

最初のコメントを投稿しよう!