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目を瞑って、両腕を聖母マリアのように前に開いて見せると、徹さんがパンパンパンと大きな拍手をした。
「海斗みたいな元気なキャストがいたらお客も喜ぶだろうね」
「かな? かな? 俺、頑張るわ! カストーディアルはキャスト全部の入り口であり出口らしいから!」
「それはなんとなく分かるよ。一番お客に近いところにいるんだろうし、話しかけられたりもするんだろうね。その質問にちゃんと答えなきゃいけないだろうし。覚えることが多そうだ」
「そやねん。わかりません。じゃ、お話にならんもん。休憩時間も勉強勉強やで」
「どんなお店にも通じることだね。店のスタッフひとりひとりがそのポテンシャルでいられたら、お客様に感動を与えることができる。笑顔で接客できるだけじゃなく……もっと従業員の教育に力を入れないといけないなぁ……」
徹さんがメモ帳を取り出し何やら書き込み始めた。
「徹さんも勉強熱心やね」
ニコニコと徹さんの様子を眺めてると、徹さんがメモをしまって言った。
「一度、海斗が休みの日にディズニーへ一緒に行こう」
「お! ホンマ! 行きたい行きたい!」
「実は一度も行ったことが無いから、いろいろ教えてくれ」
「えーそうなん! じゃあ、絶対行かな! って言っても、俺もまだほとんど情報だけ。実際体験せな分からんこともあるもんね」
話の流れで仕事の延長みたいにゆうてもうたけど、よう考えたら……これって、デートやんな? 俺ら一応付き合ってるわけやし。デートか~、同性同士のデートってどうやったらええんやろ。
考えてたらちょっと険しい表情になってたらしい、徹さんが苦笑いした。
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