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「どした? あ、こんなおじさんと一緒は嫌か」
「え? おじさんって誰よ。徹さんはせいぜいお兄さんくらいにしか見えんで」
「あははは。ありがと」
「何歳やっけ?」
「三十三。立派なおじさんだよ」
「いやいや、確か、こないだテレビに出とったアイドルもそんくらいやったし。徹さんかっこええし、やっぱおじさんってイメージちゃうわ」
徹さんはアイドルっていうより、背が高いし顔もキリッとしてるからどっちかゆうたら俳優の方やな。
「はは。年相応でいいんだけどね」
俺がちゃうよ。ゆうてるのに、自称おじさんを徹さんは譲らなかった。だから俺はつまんなさそうな表情をわざと作った。ふーんって、口を突き出して肉をひっくり返してやる。
「なんやねん。ほな、俺おじさんと付き合ってるゆーことやん」
「そうだな。海斗はまだ二十歳だし、こんなおじさんでいいのかって思うよ」
拗ねた口調でゆうてんのに、徹さんは穏やかな表情のままや。
「まだゆーてるし」
「まだ俺はおじさんじゃない! って言うほうが痛いと思うぞ」
「そらそうやけど、俺が違うゆうてんやし、そこはおおきに。で、ええんとちゃうん」
「ありがとう」
徹さんはニコッと微笑み、肉を網に乗せた。
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