世にゆう愛欲の日々ってやつ

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「風呂へ行こう」  耳元で囁く声が掠れてる。それだけでも、既にちょっと切なあなってくる。怖く思う反面、湧き上がってくる感情。はよキスしたいって俺の奥底の俺が手を伸ばしてくる。  徹さんが腕の中の俺をクルリと回した。目の前には徹さんの顔。俺を見る目がいつもの優しい感じやなくて、ちょっと無表情で乾いてる。ゾクッってする目。かっこええけど、やっぱちょっと怖い。息が詰まるゆうんか、蛇に睨まれたカエルみたいに動けん。緊迫感がすごうて、息苦しいなる。  徹さんの顔が近づいてきて、唇が軽く触れる。そっから何度も角度を変え押し付けられる唇。吸われるたびに力が抜けそうになる。背中に回った手がゆっくりと俺の身体を撫でて、そっから全身へ微弱な震えが広がっていく。  気が付いたら俺は口を開けとった。するりと滑り込む徹さんの温く分厚い舌。自分の舌がそれに触れた瞬間甘い味が口の中に広がって、ますます力が抜けてまう。巧みな舌の動きになすすべなく、俺はハウハウと翻弄されてるばっかりやった。  なんも初めてしたわけやないのに、彼女とするのとは全然違って男やからなんか、徹さんやからなんか。大変やのに、めっちゃええ。  俺は女の子みたいに徹さんの服を掴むんでいっぱいいっぱいや。  徹さんの手がいつの間にか服を脱がしていく。ズボンがズルズルと落ちてった。足元でくしゃとなる。  玄関でめちゃくちゃ間抜けな格好になってるやろうに、息子が窮屈やて涙ながらに訴えかけてくる。それを徹さんが下着越しにそっと撫でた。  なにこれ……。  下っ腹からなんかがクウーッとくる。
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