主体的な生き方

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「ではまず、樫様の個人情報をデータベースから統合いたします。その待ち時間に血液検査やレントゲンといった一通りの検査を済ましてしまいましょう。」 看護師の方がニコッ、と笑い、当たり障りのない検査をするために検査室へと促された。 そういえば申し遅れました、私の名前は樫 樋華(かし ひいか)と申します。お見知りおきを。 「お疲れさまでした、しばらくの待合室でお待ちください(ニコッ)」 笑顔のきれいな看護師さんに形通りの案内を受け、老人でごった返している待合室でボーッとしていた。あとは医療AIのデータベースと検査結果を合わせた回答を待つのみとのことだ。実際のところはさっきまでしていたレントゲン等の検査はほとんど意味ないらしい。医療AIが病気のことを最新の国民情報が登録されている政府のデータベースから拾い上げ、本人の体の情報と病気とを診断し、相談士がAI相談する。その後相談しより施術プランを紹介してくれるというのが新代の医療である。 先ほどの看護師も耳に着けてるイヤホンから流れてくる案内文を愛想よくしゃべっているだけである。本筋からそれるが、ゆえに看護師は美形が多い、医療知識より接客技術が重要だし、何ならそれは顔の造形に依存しているところもあるからだ。さらには診察券を出すときに好みの看護師を選択できる。よって、待合室はあの人かわいい、あの人セクシィーといったスケベェな会話が大半を占めているのである。現に私も笑顔のいい優しそうな写真の看護師を選んだ(男だけど)。
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