主体的な生き方

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しかし私の体に異常があるかといえば、正直に言えば健康そのものであり、精神的なものも普通に充実しており、これで病気といわれると非常に違和感を感じた。 「オーマイガッシュ!!なんてことだ。」 先ほどのことを史子に話し、なぜ残業時間が100時間(年間)にまで膨れ上がった経緯を説明したところ、キャラ崩壊ともとれる癇に障るオーバーアクションで返された。 「いいですが樫さん、私がAIと相談したところによる知識によれば、ワーカホリックにかかる人には大きな特徴があります。それは自己犠牲の強いと責任感の強い人です。今回はまさにその特徴に合致します。 その結果樫さんの生活は必要以上に30分も犠牲になっているといえます …つらかったでしょう。大丈夫です。必ず完治できる病のはずです。ひとつづつ私が更生プランを考えていくのでともに頑張りましょう」 職場の雰囲気も仕事内容も特に嫌いではないし、心も体も特に負担のない今から、何を直すのかいまいちわからないし、違和感しかないが、私の更生プログラムとやらは始まった。 次の日職場に行くと、部長からちょっと別室で話さないかと会議室に案内された。 「今朝社長から君の診断結果を聞かされた。正直なところいまいち病気の内容はピンとこないが」 「大丈夫です、私もいまいちよくわかっていません。」 「そうか、だがなんであれ私も軽率に君に仕事の延長をお願いしてしまった。まさかあれが残業だったとわ…。就業規則はしっかり読んどかんとな。AIがいいって言いうとどうもな…。」
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